愛知ウェディング協議会AICHI WEDDING COUNCIL
WEDDING CULTURE

引出物は、多くて重いのか —— 数字で見る、東海の引出物と引菓子

2026年9月14日 公開 ・ 一般社団法人 愛知ウェディング協議会(監修:理事 中村幸伸)

結婚式の帰り道、両手に紙袋。そんな光景を思い浮かべる方もいるかもしれません。

「名古屋の結婚式は派手」と言われます。その印象から、引出物も多くて重いのではと思われがちです。今回も、言い伝えではなく数字で確かめました。

2024年の調査では、東海でゲスト1人に贈ったギフト(引出物・引菓子など)は平均2.7品。全国平均の2.6品とほぼ同じです。いっぽう引出物の金額は1人あたり7.1千円で、全国平均の6.3千円を上回ります。
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査2024 東海(リクルート、2024年10月)/ギフトを用意した人 n=278、引出物の金額は回答者 n=137

品数は、全国とほぼ同じです

東海で最も多いのは3品で、64.7%。全国平均の53.9%より多いものの、4品以上は1割に届きません。5品を贈った人は1.4%で、全国平均の2.1%を下回ります。

地域1人あたりの品数(平均)5品を贈った人
東海2.7品1.4%
全国2.6品2.1%
首都圏2.7品1.1%
富山・石川・福井3.4品24.7%
新潟3.2品9.7%
北海道1.5品0.5%

出典:ゼクシィ結婚トレンド調査2024 東海。ギフトを用意した人/東海 n=278。全国は推計値。品数は引出物・引菓子・その他の食べ物や飲み物を合わせた数

品数が多いのは北陸です。国立国会図書館の電子展示でも、北陸地方は「品目数が多く豪華」と紹介されています。

「重い引出物」の代表格も、北陸でした。富山では鯛や鶴亀をかたどった「細工かまぼこ」が贈られ、1979年刊行の資料には、来賓1人あたり4〜7キログラムを用意したという記録があります(国立国会図書館「本の万華鏡」による)。

東海の品数も減っています。2018年の調査では平均3.2品、5品を贈った人は7.7%でした。6年で、平均0.5品減りました。

東海の「名披露目(なびろめ)」

東海には、引出物と引菓子のほかに「名披露目(なびろめ)」を贈る習慣があります。新郎新婦の名前を入れたのし紙を付けた品物で、二人の名前を覚えてもらうためのものです。

品物はタオルや鰹節などが選ばれ、金額は1人あたり1,000〜2,000円ほどが目安とされます。昔、結婚した花嫁を近所に紹介するとき、名前を入れた風呂敷に品物を包んで配ったのが始まりといわれています。

名古屋の菓子まきと同じく、二人のことを周りの人に知ってもらうための習慣です。

「名披露目」は、図書館の資料や自治体の史料では確認できませんでした。ここでは、この地域の式場や料亭で使われている呼び名として、協議会の監修のもとで紹介しています。また、上の調査の品数(東海は3品が64.7%)に名披露目が含まれているかどうかは、調査が品物の中身まで分けていないため分かりません。

1人あたりの金額は、全国より高めです

地域引出物(1人あたり)引菓子(1人あたり)
東海7.1千円1.4千円
全国6.3千円1.4千円
首都圏6.4千円1.3千円
富山・石川・福井8.0千円1.8千円
茨城・栃木・群馬7.5千円1.3千円

出典:引出物・引菓子を用意した人のうち、金額の回答者/東海 引出物 n=137・引菓子 n=155。全国は推計値。東海の引出物は、愛知県だけでは6.9千円(n=102)

引出物の金額は、15地域のうち3番目の高さです。引菓子は全国と同じ1.4千円でした。

いっぽう、ギフトの総額は22.0万円で、全国平均の23.6万円を下回ります。招待するゲストが全国より少ないこと(東海45.2人、全国52.0人)が影響していると考えられます。総額は2018年の36.5万円から、6年で14.5万円減りました。

品数は増やさず、1人に贈るものに少し多くかける。1本目のガイドで見た「呼んだ人に、しっかりかける」という東海の傾向と重なります。

「かさばる品」から「選べる品」へ

中身も変わりました。2018年の調査では、東海の引出物の26.0%が食器類でした。2024年は9.6%です。

引出物の内容(東海)2019年2024年
冊子で選ぶカタログ式ギフト74.8%51.1%
ウェブで選ぶカタログ式ギフト8.9%48.9%
食器類22.8%9.6%
タオル・傘などの生活用品25.4%7.8%

出典:引出物を用意した人/複数回答/東海 2024年 n=270・2019年 n=627。2018年の調査はカタログ式ギフトを冊子とウェブに分けていないため、2019年と比べています

ウェブで選ぶカタログは、5年で8.9%から48.9%へ。冊子のカタログとほぼ並びました。品物そのものを持ち帰ってもらう引出物は、少数派になりつつあります。

受け取りのオンライン化は、東海がいちばん進んでいます

引出物や引菓子を、オンラインで受け取ってもらう形も広がっています。調査ではこれを「引出物・引菓子のオンライン化」と呼んでいます。

東海で、引出物・引菓子のオンライン化をゲスト全員に取り入れた人は23.2%。全国平均の15.4%を上回り、全国15地域の中で最も高い割合です。
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査2024 東海(リクルート、2024年10月)/披露宴・ウエディングパーティー実施者 n=289
調査年(東海)ゲスト全員に取り入れた一部のゲストに取り入れた
2022年9.2%6.2%
2023年13.4%5.7%
2024年23.2%9.0%

出典:披露宴・ウエディングパーティー実施者/東海 2024年 n=289。愛知県だけでは、ゲスト全員に取り入れた人が26.4%

2年で、ゲスト全員に取り入れた人は2倍を超えました。両手に紙袋という帰り道の光景は、この地域でこそ変わりつつあります。

引菓子は、バームクーヘン

引菓子の定番はバームクーヘンです。東海では引菓子を用意した人の47.3%が選び、全国平均の44.5%、首都圏の36.8%を上回りました。ただし2018年の54.5%からは下がっています。

引菓子そのものを用意する人も減っています。ギフトに引菓子を含めた人は81.3%で、2018年の94.7%から13ポイント余り下がり、全国平均の87.9%を下回りました。

鰹節から、カタログへ

「引出物」という言葉は、平安時代の宴の帰りに、主人が馬を庭先に「引き出して」客に贈ったことから生まれたといわれます。

長く定番だったのは鰹節です。「勝つ魚」に通じる縁起物として祝いの品に用いられ、大正時代には百貨店に「鰹節部」が置かれるほどでした。

鰹節、食器、そしてカタログ。品物は変わっても、「来てくれた人に、持ち帰ってもらうものを用意する」という考え方は変わっていません。いまはそれが、ゲストが自分で選べる形になりました。

おわりに

「引出物は多くて重い」。数字で見ると、東海の品数は全国並みで、品物は軽くなる方向でした。変わらないのは、1人に贈るものに手をかけるところです。

ここに記した数字は、2024年版の「ゼクシィ結婚トレンド調査」によるものです。この調査は2024年版をもって終了し、後継の調査には東海の地域別の集計がありません。東海の引出物をこの形で比べられる数字は、これが最後になります。

一般社団法人 愛知ウェディング協議会は、この地域で結婚式に携わる事業者が業種を越えて集まる団体です。地域の婚礼文化を記録し、次の世代へ引き継ぐことを目的のひとつに掲げています。

出典

  1. リクルート『ゼクシィ結婚トレンド調査2024 東海』2024年10月
    郵送調査/2024年4月2日〜5月27日/2023年4月〜2024年3月に挙式または披露宴を実施した人/東海 n=300。ギフトはP331〜355、招待客数はP143。同調査は2024年版で終了し、後継の調査に東海の地域別集計はありません
  2. 国立国会図書館「本の万華鏡 第38回 ふりかえるブライダル」第三章
    引出物の語源、鰹節と百貨店の鰹節部、北陸の品目数、富山の細工かまぼこ(典拠は北陸農政局統計情報部編『北陸の特産物 続』1979年)
  3. 料亭か茂免「東海地方の結婚式で見られる『名披露目(なびろめ)』とは?」2025年1月20日
    名古屋市東区の料亭による解説。名披露目の意味、東海地方特有の習慣であること、名前を入れた風呂敷で近所に配ったという由来、品物の例、1人1,000〜2,000円の目安。図書館・自治体の資料では確認できなかったため、業界での呼び名として監修のうえ掲載

この記事は、公開されている資料にあたって作成しました。裏づけの取れなかった言い伝えは載せていません。 記載の誤りにお気づきの際は、お問い合わせからお知らせください。

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